11月にブルネイ・ダルサラーム国の首都 バンダルスリブガワンで開催された学会運営の手伝いを致しました。ASEAN各国からの参加者が集い、総勢150名ほどの会議でした。ASEAN地域といっても文化や宗教、言語は様々ですが、今回は、私どもが初めて訪問したブルネイについて少し話します。
友人にブルネイに行ってきたと報告すると、「ブルネイってどこにあるの?」と聞かれることが多く、ブルネイがマレーシアに囲まれているというのは知っていても、正確な場所を言い当てる人は少なかったです。確かに、ブルネイはマレーシアに囲まれていますが、マレーシアといってもクアラルンプールのあるマレー半島ではなく、インドネシアに近いボルネオ島の北部に位置しており、大きさは三重県と同じくらいです。
ブルネイでは、マレー語やブルネイ語が多く話されているそうですが、どこに行っても、皆、きれいな英語を話していました。ブルネイからの留学先で一般的な国は、イギリス、シンガポール、オーストラリアだそうです。また、学会を開催したホテルの従業員は、ブルネイ人の他に、フィリピン人やマレーシア人も多かったですし、イギリス人やタイ人の大学教授にも会いました。様々な国の人がブルネイで働いているようです。そう考えると、ブルネイの人々は英語を使用する機会が多いのかもしれません。
他国からブルネイに移住する人が多いのには、ブルネイには税金がないことも理由のひとつかと思われます。他の理由としては、公立の学校や医療機関が無料であったり、自然豊かなブルネイで子育てをしたかったという声も耳にしました。確かに、オランウータンのいる国立公園がブルネイの観光名所となっているようですし、私どもが宿泊していたホテルの近くの公園にも猿がいました。数日間しか滞在していない私どもにとっても、ブルネイは緑豊かできれいな国でした。また、仕事を通して知り合ったブルネイの方々は、とても穏やかでゆったりとした方が多かったです。
ここからは、今回の会議運営を通して感じたブルネイの習慣の話をします。
会議開催前日にブルネイ入りをし、ホテルと現地の大学と最終の打ち合わせをしたところ、大学のプロトコル担当者から、「来賓の開会の挨拶の時に『ゴング』を鳴らす」と言われ、「ゴング?」、「そんな話は聞いてなかった」と思っていると、ゴングを持ってきたから確認してくれと言われ、ホテルのロビーに連れていかれました。大学側は、ゴングを鳴らして開会宣言を行うのは当たり前と思っていたようで、木の枠と銅のゴングが準備してありました。その時は、突然に言われたことに対応するばかりで、どのような由来でゴングを鳴らすのかなどを考えていませんでした。
アジアの国々には銅のゴングを用いた楽器もありますし、イベントや会議の開会式でゴングを鳴らして開会宣言をすることが多いようです。ゴングは、船の出帆の合図の時に用いられたということもありますので、旅路やイベントの安全や成功を祈願して鳴らすということでしょうか…。気になって調べているのですが、きちんとした由来が見つからず、はっきりしたことをお伝えできなくて申し訳ありません!!
イスラム教の国で会議を運営する際には、イスラム教の参加者のためにお祈りの部屋を確保することは常識となっています。しかし、今回の会議では、金曜日のお祈りの時間に会議を中断してほしいとの要望がブルネイ側からありました。そのため、朝の7時半から午前の部を開始し、12時から14時までを休み時間とし、14時から会議を再開しました。休み時間の間、イスラム教の男性はモスクにお祈りにいき、女性(会議の受付を手伝ってくれた現地の女子大学生の話では、金曜日のお祈りには女性は行かないそうです…)や他の参加者は静かに過ごしました。ホテルのレストランも、この間はルームサービス以外のサービスを中止し、12時から14時までの間は食事の提供を一切行わないそうです。
参加者から聞いた話ですが、ブルネイの町中では余り人が出歩いたりしていないのですが、このお祈りの時間の間だけは、モスクの周りは車が二重駐車するほど混んでいたそうです。
緑あふれる、少し懐かしい感じのする国、ブルネイ。機会があったら、また行ってみたいです。